Yuya Kumagaiのオフィシャルなブログ

ギタリストやカメラマンやロマンチストなどなどやってる熊谷勇哉による何気無いブログ。

空腹はアルコールでは満たせない

空腹が訪れる。満たしに出掛けようかと思った時に限って面倒臭さが頭から体に伝う。どうしたものかと思えど、時計の針が音を鳴らすのを黙って聴いている。限界が来てしまったのでふと我に帰り冷え込んだ街に出向いては、どうして歩き始めてしまったのだと考えなくてもいいことで頭を満たす。その間も腹から静かに悲しみの声が骨を伝って鼓膜を揺らすのである。

面倒な気持ちというのは金縛りのように身動きが取れなくなる。金縛りというのは医学的な根拠があるにしろ、スピリチュアルな面でも様々に語られることの一つだ。意識があるのに身体は言うことを聞かないなんていうのは、日常では起こり得ないからこそ。信じてやまない事が裏切られる瞬間というのに人はその場でジッとしている事しか出来ないのである。

先日、ふと目が覚めて身体が動かない事に気付いたのだが、なんとなく金縛りが強まるのと弱まるのを感覚的に悟ったので、どうやったら解けてどうやったら続くのかゲームのように楽しもうと思ってしまった。すると不思議なことに幽体離脱の話を思い出した、もしかしてできるんじゃ無いかと。オカルトな人の動画を見ていたら皆口々に方法を語っていて、なんとなく試せるんじゃないかと日々思っていた矢先の今、これを逃したら次はいつかも分からない!とかさらに楽しくなってきてしまった私は早速実行しようとした。

 

出来なかった。

 

気付けば朝日が差し込んでいた。知らぬ間に眠ってしまったようだった。起きてみると身体は疲労感がありなかなか良い気持ちがしなかった。今度金縛りになったら速攻で解いて寝ようと心に決めた。

 

朝起きて新聞を眺めていると今日も緊急的な見出しが目に入る。毎日話題に上がるのは同じ話ばかりで状況は悪化しているような印象ではあるが、どうもおかしいなと常々引っ掛かっていた。おかしな方向に進む一方、そうせざるを得なかったと言わんばかりの道のりに私はどこかで冷めていった。

 

外へ出ると入荷した品薄商品に一斉に群がっていく民衆の姿を見かけた。必死さの中に醜い欲求が渦巻いているのを感じて反吐が出る。こんな時ばかり、あなた方が口々にマイナスな言葉を吐き出す場所で生産されているものであっても、何かに追われるように買っていくのである。そもそも見てないからなんとも言わないのであるけれども。普段からその場所の人々にそんなふうに思うことも言うこともない側の人間はとてもジレンマを感じてしまう。

 

クルーザーが帰還して以降、飛行機が帰国して以降、絶えない情報と増えるばかりの不安材料によって今日も多くの人々は金縛りにあっている。二転三転する情報によってコロコロ変えていき、とにかく来るかもしれない最悪の事態に怯えながら、想像を働かせては何かを見失っているのである。私にとって予言や憶測や煽りや矛先など全てどうだっていい。自分たち国民の総意として選ばれた上級国民にうだうだ言っている暇はない。私たちはもう無意識の深い金縛りの中にいる。自ら解こうとしなければいっこうに何も視界は良くならない。面倒だとさえ感じる暇をも与えられてないなんて愚かではないか。

 

私は渦中にいる。一人の存在では何も変えたりは出来ない。そしてまた私も未だに金縛りにあっている。どんなに考えていっても解けることのないこの日々に必死で食らい付いていくしかないのだと思う。

様々な面で不謹慎が横行しているが、一番不謹慎なのは無知なんじゃないか。少しでも無知から脱却したいが為に状況を把握し、現実を見つめていかなければならない。

とかいうそんな私も不謹慎の中の一人なのだろう。

 

さて、真夜中に定食を食いに行くとしよう。

 

 

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