Yuya Kumagaiのオフィシャルなブログ

ギタリストやカメラマンやロマンチストなどなどやってる熊谷勇哉による何気無いブログ。

昇龍拳が未だに当たらない

物心ついた時からスーパーファミコンは家にあった。

ソフトは殆どが説明書が無くて、その中からストリートファイターⅡをがむしゃらにやり続けてはベガが倒せなくて、必死に攻撃のかわし方を探した。それでもやはりベガは強いのでやってくうちに避けるタイミングを嫌でも掴んでくる。するとどっからか説明書が出てきてここでガードの仕方を知り、おまけにコマンドというのが存在するというのも分かった。最初から色々できるんじゃんと思った僕はコマンドのマスターをする為、技の練習に勤しんだ。

格闘ゲームは基本的にライフという概念がないからHPがなくなったらおしまい。痺れる闘いに明け暮れた。

自分の記憶の中ではいつからスーパーファミコンをやらなくなってしまったか覚えていない。きっと何となく満足してしまったのだろう。気付けば世の中はゲームボーイカラーが発売されて、僕はイエローのそれを手にしていた。

世は大ポケモン時代、空前絶後の大ブーム。

勿論一番最初の映画、ミュウツーの逆襲は見に行った。記憶に残ってるシーンは、冒頭でカイリューが出てくるのと、なんか悪そうなコピーポケモン達と、やっぱり一番鮮明なのはサトシが固まって動かなくなってしまう所。その当時はポケモンとコピーポケモンの涙がなんとなくわかっていて悲しかったけど、今見たらめちゃくちゃ泣いてしまうんだろうな。

ゲームが大流行している中、あのシーンはとても考えさせられるものだったと今思えばすごい事だなと。

結局ポケモンシリーズはリメイクの緑赤盤までやったのだけれど、それ以外のゲームキューブ以降は友達の家でやる以外にあまりやる機会もなくPlayStation2で盛り上がっていた。とは言ったものの気晴らしで行う様なくらいでしかやらなかった、あまり興味がなかったのである。

 

気が付けば、今まで使っていたケータイと呼ばれるものはスマホの登場でガラパゴスケータイと呼ばれ、圧倒的に時代が変わったことを決め付けられた。ケータイと呼ぶ人はますます減り、今じゃスマホと呼ぶ人しかいなくなった。「スマホ」という言葉を使うのに利権が発生してしまったら、スマホ界のJASRACがめちゃめちゃ悪儲けしてしまうのだろうな。いい商売じゃないか(全く良くない)。

そんな時代にスマホアプリは急に加速して、ハードウェアが姿を消し始め、最終的にオンラインで全てが行われる様になった。なんならVRと呼ばれる現実世界との動きが連携したヴァーチャル世界で遊ぶことも可能になっている。

もうほとんどの人はディスクやらを手にする機会が減ってしまった。グラフィックも美しく、お金を掛けなくても誰でもゲームが作れて商売ができる時代、幅が広がったけれど何となく寂しさがだけが僕の中に残った。

 

そういえば、最近友人の結婚パーティーに参加した。旧友たちと談笑していると昔の話題になった。

話しているうちに僕の中の歴史年表は少し塗り替えられ、笑えることもショックなことも全て時効になったであろう今、思いっきり突きつけられた。

僕は自分の話題なのに全く知らなかったのである。思わず、えー言ってよ〜と口に出してしまったけれど、そういう事ほど誰も言ってはくれないものだと分かっていたので、空っぽの言葉が床に音もなく転がり落ちた。

自分の年表は誰かによって作り上げられる。自分では全て補えないばかりか、年表があるつもりになっていたし、誰かによっての僕の歴史的事実と偶然一致しない限り完成する事もない。

 

誰かに迷惑をかけない様に生きる、というのは結局のところ自分自身の歴史において重大な失敗を犯さない為という一面があると思う。いい行いを行う事でエクストラステージに進出できる、でも人生はそう簡単に上手くいくものではないというのも人は熟知している。

人生は、我々にとってはシナリオのないゲームであり、神様かなんかが操る運命で既に決まってるシナリオ内でクエストするゲームでもある。ああ、全く親切じゃない。

アイテムを集めようにも集まらないし、コインだってなかなか手に入らない。一生ストリートファイターでいなきゃいけない。あらゆるコマンドを駆使できなければ退屈するし、何度でもボス戦をこなさなければいけない。ただ、自分で難易度を設定できるという点では一緒なのかもしれない。

 

説明書を読まないことがカッコイイと思う様になって二十数年、初めて気付くことも間違いも全て同じように迫ってくる。自分で塗り替えなきゃいけないのは骨が折れるけれど、同じくらいあなたもゲームをこなしている。は歳をとったって負けないぞという思いはまだ丸みを帯びてはくれていない。

 

未だにベガと戦い続けている。

そろそろ勝ててもおかしくないのになーとぼやきながら、小さな呟きがため息と共にこの世界のどこかに誰にも気づかれることもなく転がっていくのが目に入った。

ああ、よそ見なんてするからまたベガにやられそうになってしまったじゃないか。

 

こうやってまた一からゲームを始めていくのだろう。

 

 

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